【ボストンから一言(13)】相次ぐ不祥事の元凶は無責任体質 拉致事件で恥ずべき発言をした「芯のない」面々

米ホワイトハウスで北朝鮮の金英哲朝鮮労働党副委員長(左)と話すトランプ米大統領(中央)。トランプ氏は米朝首脳会談で日本人拉致問題に言及すると表明している=AP 米ホワイトハウスで北朝鮮の金英哲朝鮮労働党副委員長(左)と話すトランプ米大統領(中央)。トランプ氏は米朝首脳会談で日本人拉致問題に言及すると表明している=AP

 米国に住みながらも、日本から伝わる不祥事が次から次へと出てくることにあきれている。

 テレビのワイドショーでは、天下国家がひっくり返るかのごとく、芸能人たちがコメンテーターとして喧々囂々(けんけんごうごう)と言い合い、知識人といわれている人々までが参加している。

 そして何を言うかと思えば、「嘘を言っているのかな~と思います」と曖昧な表現を使って意見を述べている。後日、真相が判明した場合でも「断言したわけではありませんよ」と逃げ口上になり、責任を負う心配がないからだろう。今やみんなが口にするようになり、耳障りに聞こえる。

 米国でも不祥事はあるしニュースにもなるが、昨今の日本の現状や芯のない人々に「これからの日本はどうなるのだろうか」と危機感を感じている。

 会津藩には、当時の日本でトップレベルともいわれる教育機関の藩校日新館に入学する前の6歳から9歳の子供たちが学ぶ規範「什(じゅう)の掟(おきて)」があった。

 そのいくつかを、最近、テレビをにぎわしている大人に聞かせてあげたいものだ。

 「嘘言(うそ)を言うことはなりませぬ」

 「卑怯(ひきょう)な振舞いをしてはなりませぬ」

 「弱い者をいぢめてはなりませぬ」

 誇りと恥、そして誠実を失った近年の日本人は、自分の言動に責任を取ることなく、真実が明るみに出ると見え透いた嘘で嘘を重ねる。このような見苦しく恥ずべき振る舞いが実に多くなった気がする。

 そして、国民を代表する政治家にも無責任な行動に平然とした議員たちがいる。衆院議長を務めた土井たか子氏や菅直人元首相らがそうではないか。

拉致被害者家族を突き放した政治家

 昭和55年1月。産経新聞記者の阿部雅美氏は、公安関係者がもらした「日本海の方で変なことが起きている」の一言に、記者の感が働き、丹念な取材を経て「アベック三組ナゾの蒸発」との大見出しで事件を報じた。

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 この記事によって日本国民は初めて何か不気味なことが、自分たちの国で起こっていることを知らされる。しかし、スパイ活動に疎い日本人としては「外国情報機関が関与か」と目にしても、「まさか。何のために?」と国民のほとんどは興味本位で読むに終わったのではないだろうか。

 北朝鮮に拉致された被害者の1人である石岡亨さんは、町で見かけたポーランド人に必死の思いで家族への手紙を託し、奇跡的に両親の手元に届いたのが、1988年。

 手紙には拉致された松本薫さん、有本恵子さんの3人で北朝鮮に住んでいることが記され、家族は忽然(こつぜん)と姿を消した子供たちの消息を知る。

 ご家族は、北朝鮮と強い繋がりがあることを自負していた土井たか子氏側に、手紙を見せたことから、2度目の悲劇が襲ってくる。

 土井氏側は、すがる思いで助けを求める家族を見捨てるような態度だったと語る有本さん家族をテレビで見ながら胸が痛くなる思いだった。

 マスコミは「マドンナ」と持ち上げ、本人も「山は動いた」と豪語し大政治家ぶっていたが、自国民を守るべき人間が、北朝鮮に国民を売ったことに等しい。その残酷な姿勢に政治家としての資質を疑う。

 吉報を待ち続けたご両親たちが、裏切られた事実を知ったときの落胆、悲嘆いかばかりだったことか。

 「拉致などない」と言い切った土井氏は、北朝鮮による拉致の実態が明らかになると、「私もだまされていた」と恥ずかしげもなく、被害者のような言い訳だった。

“私には責任はありません”と言わんばかり

 そして無責任との批判を免れられないと思うのは、菅直人氏だ。1989年に在日韓国人政治犯の釈放に関する要望として当時の盧泰愚(ノ・テウ)大統領宛てに土井氏らと一緒に嘆願書で釈放を要求した。

 政治犯の中には横田めぐみさんら日本人を拉致した辛光洙(シン・グァンス)容疑者がいた。辛光洙容疑者は釈放されたあと、故郷の北朝鮮で金正日(キム・ジョンイル)総書記や党員から「国民の誇り」と拍手の嵐で大歓迎されている。

 菅直人氏は「在日外国人が民主化運動をやって逮捕されたので釈放要求に署名をしてくれと土井氏から頼まれた。しかしその人間(辛光洙容疑者)が誰かというのは、いちいち調べる余裕がないときの話しです」と釈明をしている。

 国会議員たるものが、頼まれたからといってそのように気軽に署名するものだろうか。これでは、“だから私には責任はありません”と言わんばかり。

 めぐみさんの遺灰だと北朝鮮から送られてきたときの横田さん夫妻の記者会見。悲痛で声が出ず、涙する父親の姿はあまりにもやるせない。

 国民の生命や財産を守るという国、政治家として最も大事なことすら軽視するその姿勢は、日本で相次ぐ不祥事の元凶となっている無責任体質と同じではないか。

 「トランプ米大統領、ご家族を助けてください」と願い続けている。

 ◆       ◆

ここからは私のがんの治療に関するお話です

 3カ月間続いたケモ治療(抗がん剤治療)にあまり効果が見られず、次に私が受け始めた免疫治療に使用されるロッシュ製薬のがん免疫薬が、日本でも4月から発売されたことをグンツール女医に話すと、「とてもうれしいわ」と喜んでくれた。

 彼女に「3回チャンスをあげますから価格を当ててください。米国より安価です」とヒントをだした。

 3度とも100万円以上の価格をいった先生に、私が「残念!賞金はなしです」と言うと、大笑いしていた。

 税込みで米国の4分の1となる62万円少々だと説明すると、大きな目がもっと大きくなり「米国の製薬会社の莫大(ばくだい)な利益は知っていたけど、これほどとは」と絶句。

 「これが米国の高額保険の原因の1つでもあるのよ」と話していた。

 さて、話はもとに戻り、2016年年8月15日から始まった週1回のケモ治療だが、説明を受けていた手のひらに虫がはいずるような感覚もなく、高山賢哉先生の予感通り、ひどい脱毛に悩むこともなかった。お世話になっている美容師の史子さんからは、「毛をそぐ必要がなくなって、ちょうどいい具合よ」などと軽口で笑わせられている。

 しかし、苦しんだのは味覚障害だった。もし目を閉じていたなら、何を食べているのか分からないほど味覚を失った。

 外食の場合は、必ず火を通したものであることと、特にレストランのサラダは一切り口にしてはいけないと注意を受けた。家では、生野菜を流し水で注意深く洗っていたが、料理をした野菜であっても噛むたびに、経験したことのない何とも表現し難いキシキシと言った嫌な響きが脳を刺激する。

 ジャガイモやさつま芋には、その響きはなかった。

 これらが原因で、食欲旺盛だった私も食が進まなくなり、6回目の治療前の血液検査で血小板と白血球の数値が大きく下がっていることが判明し、この週の治療はキャンセルとなった。

 「これを克服するには、食べる以外にない!」

 と1日3食を詰め込むようにして1週間食べ続けた甲斐あって、次の検査では数値がもとに戻り、グンツール女医らから褒められた。

 私の娘からは「昼食を『まずい、まずい』と文句を言いながらも、すでに夕食には何を食べようかと考えているのは尊敬をする」と変な褒められ方をした。

 ◆       ◆

 【プロフィル】新田多美子(Tamiko Arata) 大分県津久見市生まれ。73歳。1983年に米ボストンに移住し、日本などからの留学者向けに住居の手配、生活用品の買い物、車購入と自動車保険など生活の立ち上げサービスの仕事をしている。

 現在は、がん治療を受けながら働く毎日。治療では、スイスのロッシュ社による新薬の免疫チェックポイント阻害剤「アテゾリズマブ」を使っている。早く認可が出た米国で、実際の治療を通して知見が得られている最新治療を受けることを聞いた私の回りの日本医師たちは、口をそろえたように「幸運だ」と言う。

 日本が恋しいわけではないが、誰よりも日本を愛し誇りに思う。ボストンから見る日本や、少し変わった日常の出来事などをコラムにし、日本ではまだ認可されていない最新のがん治療の様子も紹介していきます。

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